2016年春アニメ第十週所感

今回から幾つかのアニメを切っております。

今週はどの作品もかなり見所のある週だったのではないかと感じますね。

前週追いつかず見られていなかった迷家に関しては2話分掲載しているので何卒。

相変わらずネタバレを含みますが、さっそくいってみましょう。

 

ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない (david production) 10話

今回はかなり作りを簡略化していながらも決めるところでしっかり決めている印象。金田デフォルメっぽい演出が多かったのはコンテ・演出が光田文亮氏だったからというのがあるのかな? 金田系の演出はジョジョに非常に良く合うので個人的には好き。一話に上手くまとめ、起承転結が一話の中に詰まった良い回だったと感じる。良い回だった。

 

僕のヒーローアカデミア (ボンズ) 10話

うーん緊張感があって良い回でしたねえ。ここのところ若干勢いが衰えていた僕のヒーローアカデミアだが、ここに来てまた良い盛り上がりを見せてきた。演出は1話6話でも担当した塚田拓郎氏。一話の最後に落ち着きのある盛り上がりを持ってくる手腕はさすがと言ったところ。絵コンテの石平信司は仕事が速くてルーチンもののコンテを多く手がけている印象があるが、個人的にテンポ感がいまいち好きではない。ただ今回は演出の影響が大きく良い出来に仕上がっていたので、相性という部分もあるのだろうなと感じる。良い出来でした。 

 

コンクリート・レボルティオ 超人幻想 -THE LAST SONG- (ボンズ) 22話

あーーーーーー最高。良い。コンレボは最高だよほんと。水島精児監督にはどう感謝の念を表すれば良いのかわからない程感謝している。こんなに素晴らしい作品を作ってくれて本当にありがとうございます。今回は爾朗の過去が更に明らかになり、超人科諸氏とのある種の邂逅を果たす回だった訳だが、演出から何から本当に力が入っていて、特に各々の台詞の中に込められた思想が溢れ出てくるようだった。様々な作品に対するオマージュや巧妙に練られた時代考証。水島精児監督の代表作と言っても過言ではない出来に仕上がっている。今回は特にその毛色が強く、最終話に向けた助走段階に入っている事がはっきりとわかる。見逃せない作品。素晴らしいです。

 

キズナイーバー (TRRIGER) 10話

あー良い。Bパート最後の5分間で怒涛の畳みかけを食らって恥ずかしながら泣いてしまった。本当に岡田磨里は天才だなあという感じだ。第一話から謎で小出しにされてきた勝平とのりちゃんの関係が、結構意外な形で示されており非常に良かった。数話前から置かれてきた伏線を十分に回収するシナリオで、構想段階で最後まで練られていたんだなという事が良くわかる。ただ、今までの物語の中でまだ十分に説明されていない事もあり、最終話に向けてどのように話を昇華させるのか楽しみな作品である。非常に良い回でした。

 

マクロスΔ (ビックウエスト) 10話

よい。尽くテンプレートな流れを詰め込んだ脚本で、それを生かす演出。非常に良いと思います。演出のヤマトナオミチ氏は最近名前をよく見るが不遇な作品で名前を見る事が多い気がする。この回に関しては最後への持っていきかたなど、特にBパートではかなり良い部分が多かった。メッサーが突入してくるシーンやその後の戦闘、そして特殊EDまで一通りで観て評価出来る仕上がり。ただそれ以外の部分は特に良いわけではないのであしからず。全体としての評価は十分できると思います。良い回でした。

 

甲鉄城のカバネリ (WIT STUDIO) 9話

さすがはWIT STUDIO、安定したクオリティですね。今回の見所と言えばやはりほろびちゃんが黒煙の中から落ちてきてからの戦闘シーンかなと思うが、デザインの歪さとモーションの人外的なかっこ良さとが相まって非常にいい絵になっていた。美馬がほろびちゃんを刺したあと、その表情をあえて見せない演出も記号化されてはいるが良い表現で、背景の光から生じる影を上手く使っているなという印象。ストーリー自体は非常にありきたりではあるが、それをよく形にしているなと感じる良い回でした。

 

ジョーカーゲーム (ProductionI.G) 10話

良い回でした。ジョーカーゲームにしては平均的な回だったが、良い意味で癖がなく楽しめる。コンテの荒川直樹氏は幾つかのアニメで美術設定も担当されているだけあって良い構図の絵が多々見受けられた。特に終盤で夫婦が邂逅する場面などは非常に美しく、心地の良いカタルシスにいざなわれる。ストーリー全体をみても相変わらず纏まりが良く、他話の流れに照らし合わせても自然な物語であったと感じる。とても良い回でした。

 

クロムクロ (P.A.WORKS) 10話

他話との繋ぎとなる回。剣之介の過去がじわじわと明らかになる中で人々が疑義を深める様は観ていて何というかヤキモキする良いシナリオ。2クール構成ではあるがこのクールでとりあえず一段落させるのだろうか。そうするとこの辺りから助走が始まっているという感じだろう。脚本が街田堂子氏だけあって安定した話の構成で観ていて安心感があった。全体の中では地味で演出などもかなり難しい回だっただろうが、上手く緊張感を保てており、良い作りになっている。良い回でした。

 

迷家 -マヨイガ- (diomedea) 9話

良い回ですねえ。いやーやっぱり天才でしょ水島努。光宗とハヤトのトラウマが上手く噛み合うようになっているところや、真咲ちゃんの行動や他の人の行いが諸々各々の性格に合わせて合理的に動くように構成されている部分には舌を巻く。さすがです。今回に関しては特にその大筋が光るように出来ており非常に良かった。また、外れの村の同じ家が立ち並び霧がかかった背景は恐怖演出としてかなり上手く出来ており良い。全体的に良い回でした。

 

迷家 -マヨイガ- (diomedea) 10話

評価が難しい回。個人的にはめちゃくちゃ好きなんだけどかなり人を選びそう。一度に物語の種が明かされるその流れは無理矢理感が強く、どうしても受け入れにくい人はいるだろう。迷家は人間の心理描写の巧妙さやその全体の構成を楽しむ作品だと私は思っているので、そういう点で観るならば本当に素晴らしい作品。9話までの話ではナナキ村という外界から隔絶された内的な空間で個人の内面に関して描いてきた訳だが、今話ではそれを外部からメタ的な視点で観つつ、個人の内面に関してもナナキを媒介として外部から観るという今までと180度変わった視点での構成になっており、これまでの話に比べてのコントラストが際立つ作りになっている。そういった意味でも今話は迷家の中でもひとつのターニングポイントになる回であり、今後はおそらく光宗を介して内外の入り混じりメタ的な視点を含めた見方ができるようになるのだろう。しかし、それだけあってもなお不明な真咲という存在やナナキ村の真相といった大きな謎が横たわっているという面白さこそ、この迷家の真髄なんだと感じる。こういった事も踏まえた上で、あえて今話は私は神回だと言わせて頂こうと思う。

 

うしおととら (MAPPA & studioVOLN) 36話

最終回が楽しみになって来る良い回。流兄ちゃんもそうだったが、良い悪役の良い死に様を描けるのは素晴らしいスタッフ。今回は物語全体の中で最終回を見据えた良い構成になっている。今話単体で観ても非常に展開のテンポがよく、それに演出が上手く付いていっているという印象。脚本はいつもの米村正二氏だが、今回も相変わらず米村感のある安定したシナリオ。ただうしおがとらに腕を少し噛ませてやる所はあっさりとしすぎていて少し拍子抜けする。まあ今後の展開も踏まえた上での演出だとは思うが。良い回でした。

 

文豪ストレイドッグス (ボンズ) 9話

今回は比較的茶番も少なく良い回だったんじゃないでしょうか。こういう心温まりつつお涙頂戴な回は演出が悪くても良いように見えるからという部分は大きいだろう。個人的に池下博紀氏の演出が好きではないのでいまいち何ともという感じではあるが、しかし他の回に比べると十分良い出来だったように感じる。作画だなんだは文豪ストレイドッグスに関しては微塵も不安にはならないし、実際応えてくれているので腰を落ち着けて観ていられる。良い回だったと思います。

 

ふらいんぐうぃっち (J.C.STAFF) 9話

いやお前これ、お前、いやこれ、優勝やん……。優勝やんかこんなん……。全てにおいて素晴らしい作品だよふらいんぐうぃっちは。何だこれは。今回は犬養さんが出てきたわけだが、犬養さん回は脚本福田裕子氏でコンテ演出倉川英揚氏とでも決まってんのかね。4話に引き続きこの2人の組み合わせは非常によい。テンポ感のちょうど良い進行と、穏やかさの中に感じる見せ場ごとでのこだわりがあって観ていて心地良い。あと、やっぱりチトさんのモーションが滅茶苦茶凝っているなというのが解る。圧倒的な説得力のある動きで大変素晴らしいと思います。本当に良い回だった。

 

ハイスクールフリート (プロダクションアイムズ) 9話

鈴木貴昭氏ってこんな面白くない脚本書く人だっけ? はいふりはもう少しシリアスとギャグとが相容れない感じがありつつも物語には多少の盛り上がりを用意してるアニメだという印象だったのだが、今回は序盤以外は完全に平坦でした。艦長が副長に帽子を託すシーンと、みーちゃんがテアに帽子を返すシーンが対になって描かれていたのがグッと来るくらいで、それ以外の全てが蛇足に感じてならない。今後晴風が壊れている事が何か物語に響いて来るんだろうけど、ほんとそれ以外はどの出来事も唐突さが強くて観てて不自然さを感じる。脚本ではなく演出が悪いという説は大いにある。今回はあまり良い回とはいえない。

 

学戦都市アスタリスク (A-1 Pictures) 22話

なるほど、まだまだ学戦都市アスタリスクは続くんやな。惰性で観ているだけなので正直なところ早く終わらせて欲しい。しかし今回は比較的良い回だったと思います。作画の乱れやパースの崩れやらはもちろんあったがA-1には良くある事。それを置いても良かったのは構図だ。コンテ演出の飛田剛氏は最近チラホラ名前を見かけるが、今回の構図だったりはかなり良かったと感じる。サヤと綾斗が屋根の上で邂逅する場面やそのシーンの続きで糸電話が出てくる場面など、かなり印象深い構図が多く、良かった。話自体は観るに堪えなかったが、総合的に観ると良い回だったんじゃないでしょうか。

 

三者三葉 (動画工房) 9話

うーーーーん、やっぱり面白くないなあ。いや作画だ何だは非常によろしいんだが、何ともこの脚本の悪さというのが際立つなあ。今回は特に西山と双葉が話しているところに花子さん訪問をやめた葉子と近藤が帰ってきて話して笑いあい、西山が「???」という顔をするところのように会話の筋がはっきりしないというかコンテクストが十分形成されていない会話が目立った印象。コンテクストが形成されていないというか、全体的に茶番じみていて単に面白くないとはっきり言った方が良いかもしれないけど。良い作画を観るために観ているという感じです。以上。今後は良かった回のみ書くこととします。

 

くまみこ (キネマシトラス) 10話

絶望的に面白くない。まちちゃんのアイドル姿を観るためだけの回だった。それ以上の意味を求めてはいけない。とにかくテンポ感が悪く「ここを時間かけて映像にしたら確実におもんないの解るやん」という部分が多々あった。いやほんと、最後に村人同士が悪口を言い合う部分だったりはもっとパパッと終わらせて、まちちゃんの可愛い姿だけみせてくれよ、頼むよ。ほんと頼む。

 

ばくおん!! (トムスエンターテイメント) 8話

あーほんと昭和感あるなあ。ばくおん!!のAパートとBパート前半で昭和感のある茶番劇を繰り広げた後、Bパートの最後の最後でちょっと感動的な終わりに持っていくの本当に意味わかんないけど何か好きだよ。今回もやはり背景は綺麗で、最終シーンで犬吠埼から臨む初日の出は本当に良いものだ。他には特に言う事ないです。

 

あんハピ♪ (SILVER LINK.) 9話

鷺宮先生が口にした「最低限の注意も払えない事を不幸と名付けるなんて」というのはまさにあんハピ♪を多少なりとも批判的に観てる人間なら思う事なんだろうが、その後鷺宮先生が最低限の注意でどうこう出来る問題ではないと気付きむしろ彼女たちは努力しているのだという事を理解する過程が、完全に観ている側が感じるそれなんだよなあ。あんハピ♪はほんと、可哀想な女の子がそれでも幸せそうに生きている様を観て元気付けられるアニメだ。他のアニメと比べると駄作なんだろうが、精神をやられている私のような人間にとっては良い作品に思えてならない。今回は特にそれを客観的に見せてくれる回だったように思う。

 

あんハピ♪ (SILVER LINK.) 10話

おっ、OPでずっと後姿だけだった女の子が振り向いたぞ。可愛い。いや後3話程度しかないけど出番とかいろいろ大丈夫なんですかね? 今回は何というかあまり面白くも感慨深くも感動できた回でもなかったが、この謎の女の子が出てくるために必要だった回という部分がつよい。あと水着回だった訳だが、響が可愛いというもうそれだけで十分だ。以上。